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高森明勅
2019.5.2 07:00皇室

新しい天皇陛下の「イギリス議会」体験

新しい天皇陛下のお若き日のご著書『テムズとともに』
(平成5年刊、学習院教養新書)。

イギリスでの2年間の留学体験をまとめられている。
その中に次のような記述がある。

「到着翌日の6月22日には、英国議会の開会式を見学した。
式は、エリザベス女王陛下、御夫君のエディンバラ公フィリップ殿下の
ご臨席のもとに、上院においておごせかに行われた。
まず、きらびやかな礼装に身を包んだ上院議員が整列する中、
きわめてフォーマルな装いの女王陛下とフィリップ殿下が入場される。
やがて、女王陛下からの使者が下院に赴き、発声とともにドアを叩く。
下院では開けたドアを使者の前で閉めてこれを拒絶すること2回。
3回目にようやく開け、下院議員全員が上院に向かう。

いわば女王陛下の使者に三顧の礼をつくさせるわけであるが、
私はこの一連の所作に、ピューリタン革命にまで遡る、
王権から自立した、議会を主体とする政治の理念が表されている思いがした。

ほどなく式場に現れた下院議員の服装は平服である。

その中にはサッチャー首相の姿もあった。
…議会の開会式見学は、私にとって『伝統の国イギリス』を実感する
最初の機会であった」

― 我が国の議会、つまり国会を構成する議員諸氏に、
果たして政治の“主役”としての責任感がどこまであるだろうか。

それにしても、お若くして
「女王陛下の使者に三顧の礼をつくさせる」
下院の所作に頼もしさを感じられた、天皇陛下の懐の深さに驚く。

高森明勅

昭和32年岡山県生まれ。神道学者、皇室研究者。國學院大學文学部卒。同大学院博士課程単位取得。拓殖大学客員教授、防衛省統合幕僚学校「歴史観・国家観」講座担当、などを歴任。
「皇室典範に関する有識者会議」においてヒアリングに応じる。
現在、日本文化総合研究所代表、神道宗教学会理事、國學院大學講師、靖国神社崇敬奉賛会顧問など。
ミス日本コンテストのファイナリスト達に日本の歴史や文化についてレクチャー。
主な著書。『天皇「生前退位」の真実』(幻冬舎新書)『天皇陛下からわたしたちへのおことば』(双葉社)『謎とき「日本」誕生』(ちくま新書)『はじめて読む「日本の神話」』『天皇と民の大嘗祭』(展転社)など。

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